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ワクチン接種後の抗体

ワクチン接種後の抗体

現在、我が国で使用されているmRNAワクチンは、スパイク蛋白質に対する抗体(Spike蛋白抗体)を作るように設計されています。これは、S抗体と言って、スパイク蛋白に対する抗体(Spike蛋白抗体)です。この検査は、新型コロナウィルスにかかったか否かを知る抗体検査ではありません。抗Spike蛋白抗体と中和抗体価は高い相関性を有していますので、この抗体の存在により中和抗体の存在を知ることができます。

当クリニックでは、この抗体の定量を行っています。Anti-SARS-CoV-2 S 抗体定量検査試薬(ロシュのElecsys®)を用いた定量検査で、その精度は高く、その数値は、国際単位で報告し、国際的に発表されている数値と比較可能です。2021年 6月 3日 千葉大学医学部附属病院から発表されたニュースリリースでは、抗体価は、接種前の中央値が0.4U/ml 未満 (多くが全く抗体がない状態)に対し、接種後の中央値は 2,060 U/mLと大幅に上昇していたと発表されています。そして、若年者、女性でより高値であったということでした。2回目接種後、抗体が陽性となったのは1,774名 中1,773名(99.9%)だったそうです。どうして、1名だけ陰性であったのか不明です。

ワクチンで作られた抗体について(抗体価)

ワクチンで作られた抗体について(抗体価)

mRNAワクチンの本質は、スパイク蛋白の設計図であるmRNAです。これが体内に入ると、私たちの身体で、その設計図をもとにスパイク蛋白が作られます。これを抗原とする抗体を作ることが、感染防御の基本です。その過程を簡単に説明すると、まず、抗原提示細胞が働いて、スパイク蛋白を抗原とするように指示します。そして、その情報を免疫未熟細胞に伝達し、免疫記憶細胞に成熟させます。免疫記憶細胞は、免疫実行細胞を増加させ、抗体産生を活性化させるのです(免疫プライミング効果)。そして、その状態で、再度抗原に暴露すると、さらに免疫機能が高まることが知られています(追加免疫効果:ブースター効果)。ブースター効果は、プライミングされた後、時間が経過すればするほど大きいと言われています。ワクチンを2回接種するのは、このプライミング効果とブースター効果の両方を期待するからです。

図は、当院で調べた方々の抗体量のグラフです。ワクチン接種を終了してからの経過日数と抗体量(抗体価)の関係をグラフにしました。全員に十分な量の抗体が検出されました。ただし、接種してから日数が経過すると抗体価が減少する傾向が見られます。抗体量が減少していても、また抗原に暴露するとブースター効果が働き、急速に抗体が増加することがわかっています。よって、接種後、日数が経過して抗体量が減っても、万が一感染した場合には、すみやかに抗体が増加することが期待できるのです。ウィルスの増殖速度が著しく速い場合には、抗体増加の反応が追い付かなくて、感染が発現する可能性もあるかもしれません。でも、プライミングされていると感染に対しては強い抵抗力が獲得されていることは間違いありません。

抗体価と感染の関係

中和抗体の抗体価は、通常そのウィルスの増殖抑制する最大血清希釈倍数で抗体価を表示しますが、抗スパイク蛋白抗体の量(単位/ml)と中和抗体の抗体価は相関するので、抗スパイク蛋白抗体の量を抗体価と考えてもよいと思います。一般的に、抗体価が高ければ高いほど、感染防御能力は高いと考えられますので、この抗スパイク蛋白抗体量は、感染防御能力を示していると思います。だからと言って、抗体価が低いことが、深刻な感染防御能力が低下を意味しているわけではありません。抗体価は、抗原に暴露するとブースター効果で、すぐに増加することが知られていますので、感染に対する防御という点では、問題ないと思われます。

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