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不整脈これで安心

不整脈これで安心 (院長著:小学館 ホーム・メディカ安心ガイド2002年より)

長い人類の歴史の中で、100年の人間の寿命はわずかなものです。それが、90年なのか80年なのかはもっと些細なことかもしれません。ボケて死んだり、苦しんで死んだりするより、ポックリ逝きたいという願望は、誰にでもあります。しかし、ポックリ逝くと困るのは、本人ではなくて、周囲の人なんです。だから、ポックリ逝くのは、10年後、20年後にしたいものです。そしてポックリ逝くまで、楽しく、活動的に、有意義に、元気、みんなの中で生きたいものです。そのために、不整脈を克服しようではありませんか。

動悸を感じる人へ

迷わず、医者に行きましょう。そして、その動悸が、不整脈によるものなのか、そうでないのかを診断してもらいましょう。不整脈が動悸の原因だったら、それが怖い不整脈なのか安心できる不整脈なのかを鑑別してもらいましょう。診断してくれた医者の説明の中に出てくる不整脈の名前や、どうして安心できるかという理由はこの本に書いてあります。また、あなたが病院でなさった検査についても解説があります。もう一度そこを読み直しましょう。安心できる不整脈であったら、ちょうどこの本の第1章の事例にでてくるシナリオライターのような場合です。

シナリオライターの実例

心筋梗塞を経験した人

心筋梗塞を起こした人にとって、不整脈は、重大な問題です。特に、左室機能が悪い方は要注意です。主治医を信頼して、毎回の診察の時に、息苦しさがあるか、足のむくみ、動悸、失神の有無を伝えましょう。頻拍と失神が大敵です。特に、失神した場合や、目の前が暗くなるような発作があった時には、入院して電気生理的な検査を行った方がよいでしょう。重大な問題も今の医学では克服する方法があります。危険な不整脈が見つかったら、躊躇なく植え込み型電気除細動器を植え込みましょう。安心できる生活が送れます。LDLコレステロールを100mg/dl以下、血圧を130/80mmHg以下にすることも忘れずに。余裕を持ったスケジュールを、楽しい仲間も発作を予防します。この本の心室頻拍と植え込み型除細動器のところをもう一度読み直してください。

しょっちゅう、頻拍発作を起こす人

この本の事例の高校生の山田君の場合です。彼は10年以上も前に不整脈で悩みました。でもここ10年の医学の進歩は、世界を変えてしまっています。カテーテルアブレーションは安全で効果的な治療法として、すっかり市民権を得ています。だからといって、何でもかんでもアブレーションがよいというわけではありません。この本にも書いたように、薬も有効なものがたくさん出ていますし、自分でできる発作を止める方法もあります。一番大事なことは、どのくらいの頻度で発作を起こして、かつあなたが困っているかです。私の医学部学生時代からのWPW症候群の友人は、事例集に出てくる山田君みたいに、バスケットボールの試合をやると頻拍を起こしていました。でも、医者になってからは、ほとんど発作が起こらなくなりました。けれど、40歳を過ぎてから、また繰り返し発作が起きるようになり、1年くらい薬を使っていましたが、発作回数が減らないため、つい2年位前にアブレーションを受けました。今ではすっかり具合がよいようです。別のWPW症候群の患者は、60歳を過ぎたら、発作を全く起こさなくなりました。いろいろな場合があります。大事なことは主治医と十分話し合って、アブレーションを受けるか否かを決めることです。このアブレーションは長生きのためではありませんから、あなたの生活スタイルを一番よく理解できる身近の主治医にまず相談するべきでしょう。

高校生の山田君の実例

不安が募る人

頭の中では安心であると理解しても、いざ、心臓の症状を感じると不安になるものです。大事なことは、まず循環器内科医に診てもらうことです。そしてあなたの症状が心臓由来ではないことを、100%保証してもらいましょう。次に、その症状が午前中に多いとか、夜眠れない、あるいはすぐに目が覚めてしまうというような症状があったら、仮面うつ病の可能性がないかを診てもらいましょう。抗うつ薬は、QTを延長させ、不整脈を起こす副作用があるといわれていましたが、最近になって、そのような副作用がない抗うつ薬が、日本でも使えるようになっています。その結果、多くの心臓病患者が不安から救われています。循環器内科の主治医の先生と相談して心療内科の先生を紹介してもらいましょう。

心臓発作を予防したい人

心血管の病気の発症予防には、スタチン系薬剤とアスピリン(あるいはその他の抗血小板薬)が有効です。このことは、証拠を持って有効です。抗酸化作用のあるものもよいかもしれません。このことは、希望を持って有効です。それにかこつけて、私は赤ワインと紅茶をよく飲みます。これは、私の嗜好でもありますが。定期的運動、血圧の管理、肥満の予防は、代謝の改善を介して、あるいは精神的な満足度を介して有効であると思います。糖尿病は大敵です。糖尿病と心臓病の両者がある方は、特に要注意です。しっかり、血糖コントロールをしなくてはいけません。

人生を楽しみたい人

不整脈はあるけれど、そのためにあれもいけないこれもいけないというのは、問題ですね。お酒は、心房細動を起こしやすくします。これに煙草を吸って、電解質異常が加わると、心室頻拍を起こして、かっこ悪くポックリなんてこともありえます。事例にでてきた六本木のママさんのような状態になるわけです。人生を楽しむためのお酒は、量をわきまえて楽しく飲む程度にしましょう。飲酒と不整脈は交感神経の過興奮が関係するので、β遮断薬が有効なこともあります。

喫煙は、すべての健康に害があります。1.心拍数を増加させ、血管を収縮させ、血圧を上昇させる。2.血管の内皮という内側の膜をボロボロにしてしまう。3.動脈硬化をきたすようなリポ蛋白の酸化を促進し、動脈硬化を助長する。4.血液が固まりやすくなってどろどろになる。5.不整脈がでる。6.血液の中の酸素が低下する。ということが喫煙が心臓に悪影響を及ぼすところです。やめた方がよいのですが、人生観の問題もあるでしょうから、悪いことを承知で吸うのは、日本においては認められたことです。

運動も通常のゴルフくらいならばたいていは問題ありません。しかし、アップダウンのあるコースや、真夏や真冬のゴルフ、ゴルフ以外の激しい運動や、山登りの場合は、主治医と相談しましょう。

苦しんで死にたくない人

世界保健機関(WHO)は、何歳まで健康に生きられるかを「健康寿命」と名づけています。20006月に発表された日本の平均健康寿命は、74.5歳(男71.9歳、女77.2歳)で世界一でした。日本は平均寿命も世界一の80.9歳です。健康寿命はそれより6.4年短いことになります。つまり、その間は、元気でない期間ということになるのです。死ぬまで元気というのは、健康寿命を延ばすということです。今の医学は、健康寿命を延ばすように発展しています。健康寿命と平均寿命の差もどんどん縮んでいくことでしょう。

心臓病の人が心臓病で死ぬ確率は70%に過ぎません。あとは、他の理由で死んでいます。でも、突然死は高齢になればなるほど多いのです。言いかえれば長生きすればするほど突然ポックリ逝く可能性も高くなるということです。死ぬまで元気に生きることというのは、長生きすることにほかなりません。元気で長生きすることが、「苦しまずに死ぬ」秘訣です。信頼できる主治医と、愛する家族と友人を持ち、死ぬまで明日の予定を作ることが、元気で生きるコツです。

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